初めての出会いは車の中 [しーちゃん]

その日、生まれて一ヶ月の赤ん坊と出会った。
それは、車の中だった。
悲劇の五週間前、
私は交通事故に、巻き込まれた。

助け出された私は、救急車で病院に運ばれた。
命に別状はなかった。
しかし、病院での入院生活を余儀なくされた。
怪我の痛みは、激しかった。
それを除けば、穏やかな入院生活だった。

怪我が癒え、漸く退院できることになった私は、
姉の車で自宅に帰る途中だった。

その子供は、スヤスヤと私の腕の中で寝ていた。
“しーちゃん”。
それが、この子の呼び名だった。

この子は、姉夫婦の三人目の子供。
姉夫婦は共働きだった。
何時も、その皺寄せは、
私の母親(以下、母)にきていた。

それまでに、二人の孫(姉の子供)の世話をしていた、
母の我慢も限界だったようだ。
家に帰宅した私は、
自分の部屋に戻った。
ソファでゆっくりと、
寛ぐつもりだったが、甘かった。
母が直ぐさま、私の部屋に入ってきた。

 「話がある。」

何か、それも、
言いたくて言いたくて、
仕方がないことだと判った。

 「しーちゃんの面倒を、あなたが看て。」と、
 母は言い放った。

 私は、「うんぅぅ?」と肯いた。

 「じゃよろしくね。」

 断るつもりだったが、話はそこで終わった。

 私は、断る理由を、考え始めた。

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:育児

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

トラックバック 0

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。